日常で出来るニキビ予防法
ニキビが出来てから治療するよりも、予めニキビが発生しにくい生活習慣を心がけるほうがずっと効果的。
これについては他の病気とまったく同じです。こちらでは自分でも出来るニキビ予防法を“食生活”と“スキンケア”という2つの観点から紹介していますので、これ以上のニキビ発生を防ぐための一助にしていただければ幸いです。
ニキビ対策のウソ・ホント!
多くの方が、インターネット検索でニキビ対策の方法を調べようとした経験がおありだと思います。大人ニキビを正しく治すため、世間で信じられている“ニキビ対策9つの常識”について、その真偽を解説していきたいと思います。
まず、原則として自分で潰すのは絶対に避けるべきです。
特に手指の爪で潰すというのはNG。周辺の皮膚にまで傷をつけてしまい、そこに指の雑菌が付着して炎症を起こす可能性がありますし、深く傷つけてしまえばクレーター状の跡が残ってしまう恐れもあるでしょう。リスクこそあれ、プラスになることはありません。
もちろん、偶然に1つか2つニキビが出来た程度で皮膚の状態が良く、なおかつ運が良ければ、白ニキビや黒ニキビの中身だけをキレイに取り出して治癒が早まるという例もあるでしょうが、これは極めて幸運な例です。
爪やピンセットなどはニキビの中身を取り出すには大きすぎて、多くの場合は周囲にまで傷をつけて、ニキビ跡が残るリスクを増やします。
結論から申し上げると、汗によってニキビが悪化するというのは俗説であり、誤りです。
汗というのは大半が水分であり、皮脂は汗をかくかどうかに関わらず、皮膚の表面に一定量が分泌されています。多量の汗をかくと皮脂が水分の上に浮いてしまい、皮脂が目立ったり、ベタベタとした不快感を生じたりするので、そのせいで“汗=皮脂”という考え方が生まれたのでしょう。
また、さらに言えば皮脂がニキビの原因である…というのも正しくはありません。大人ニキビの原因は角質の乾燥、男性ホルモン過多による毛穴の収縮などが根本原因。
収縮した毛穴に角質層から剥がれ落ちた角栓が詰まることで発症します。なので、乾燥肌になりやすい冬場に悪化するのがむしろ自然。あなたが実感している“夏よりも、むしろ冬場に悪化する”という認識は正しいといえます。
思春期ニキビの場合は未成熟の小さな毛穴に角栓が詰まり、そこに皮脂が溜まることで悪化するので、皮脂コントロールも大切ですが、大人ニキビの場合には角質層の乾燥を避けること、すなわち保湿が基本的なケアの方向性になることを覚えておきましょう。
マキロンなどの消毒液にはある程度の殺菌作用があるので、アクネ菌を減少させる効果は確かにあるかもしれません。また、マキロンに限らず抗炎症作用がある創傷消毒剤であれば、一時的に炎症が緩和されて赤みが引く可能性もあるでしょう。
しかし、これらの効果は僅か、あるいは一時的なものであり、市販の消毒液でニキビを完治させることは難しいと考えるべきです。
アクネ菌を殺菌しなければならないほどの炎症が起きているなら、専用の抗生剤を用いたほうが効果的といえます。
また、抗生剤についても言えることですが、アクネ菌を殺菌して炎症を緩和させる手法はあくまでも今発生している炎症を抑えるための対症療法に過ぎず、新しくニキビが発生するのを防ぐ効果はありません。要するに、アクネ菌を殺菌するというアプローチ自体、その場しのぎにしかならないのです。マキロンなどの外傷用製品をニキビに用いるのは用途外使用であり、悪影響を与えてしまう恐れもありますから、原則、避けたほうが良いのは間違いありません。
炎症を伴う赤ニキビが複数発生した場合は、自己流のケアで治そうとせず、皮膚科医に相談したほうが良いでしょう。
まず、大人ニキビの原因がメイクであるというのは医学的根拠に乏しい俗説。原因は男性ホルモンの過多によって毛穴が収縮すること、
そして、角質層の乾燥によって角栓が発生しやすくなることの2つです。ただ、刺激性の化学物質を含む化粧品によって、すでに存在しているニキビの炎症が悪化したり、ニキビ以外の肌トラブルが生じる可能性までは否定できませんので、低刺激性の化粧品を使ったほうが良いことは間違いないでしょう。敏感肌用の化粧品、あるいは“当該製品を用いたことによるニキビへの悪影響が見られない”と確認されているノンコメドジェニックの化粧品を使用するのがオススメです。
これらの点にさえ気をつけていれば、特にメイクを控える必要はありません。
また、ニキビを目立たせたくない場合、補色を活用したカラーコントロールを試してみてはいかがでしょうか。赤みが気になるのであれば、補色であるグリーン系のパウダーファンデーションを用いるなど、補色を合わせることで、色同士が主張を打ち消し合い、自然な肌色に近づきます。
また、頬の特に側面にニキビが多発している場合、目元や唇に明るい色を差すことで、注意を顔の中央に向けるのも良い方法。
人は目立つ場所に視線を固定する性質がありますから、ニキビの有無に気づきにくくなるはずです。
ニキビとホルモンバランスには非常に深い関係があり、男性ホルモンはニキビを発生させる原因、女性ホルモンはニキビ改善の強い味方となります。
なので、ホルモンバランスが大きく変わる妊娠中に肌質が変化するのは自然な現象なのです。以上から、妊娠とニキビに大きな相関関係があることはまず確実。次に“妊娠してニキビが改善した”という意見と“妊娠してニキビが悪化した”という意見が混在している理由を解説します。
まず、女性に多い性ホルモンは厳密には2種類あり、1つが一般的に女性ホルモンと呼ばれている卵胞ホルモン(エストロゲン)、もう1つが黄体ホルモン(プロゲステロン)です。
このうち、ニキビを改善して美肌づくりに役立っているのが主にエストロゲンで、プロゲステロンが増え過ぎると逆に肌荒れを起こしやすくなるとされています。
この理由について、プロゲステロンが都市伝説として男性ホルモンに近い性質を持つとされていますが、そうではないようです。ただ、プロゲステロンも健康維持に必要なホルモンで、何も悪玉というわけではありませんので、その点はご承知置きください。
さて、これら2つのホルモンですが、実は妊娠初期には、まずプロゲステロンが大幅に増加し、おおよそ15週目あたりからエストロゲン値が急上昇、20週目までにプロゲステロンの分泌量を追い越していきます。なので、妊娠初期は肌荒れが起こりやすくなり、15〜20週あたりを境目に、今度はニキビのない美肌に変わる…という経過をたどる場合が多いのです。
ホルモンバランスが乱れて、男性ホルモン過多の状態に陥るとニキビが発生しやすくなります。
なので、女性ホルモンを増加させることでニキビの予防、改善が目指せるというのは紛れもない事実です。実際、対症療法では新しいニキビの発生までは抑えられないので、再発率を大きく減少させる根本治療として、ホルモン治療が重要視されており、ピルの服用が大きな選択肢となっているのも間違いありません。
ただし、この方法は必ず医師の指導下で行ってください。
時折、ダイアン35といったニキビ治療に役立つという触れ込みのピルを個人輸入で入手される方がいるようですが、ホルモンバランスを変える薬品を自己判断で服用するのは絶対に避けるべきです。
医師の処方を受け、さらに服用期間が少しでも短期間で済むように管理しなければ副作用のリスクもあり得ます。医師の指導下であれば絶対に安全と言い切れる反面、自己判断での服用には大きなリスクが伴いますので、必ず、ホルモン治療を実施している皮膚科医院に相談した上で検討してください。
アメリカのワシントン大学で、ニキビに悩んでいる49名、肌トラブルのない52名から、それぞれアクネ菌を採取して分析するという研究が行われました。
ゲノム解析の結果、アクネ菌の菌株は未報告のものだけで66種類にわたっており、その中にニキビが発生している人の肌だけに存在している菌株が存在していることが分かっています。
逆に、肌がキレイな人からは採取されるのに、ニキビが出来ている人の肌にはほとんど存在していない菌株があることも解明されました。以上の結果を総合すると、ニキビ肌の人に多く存在している菌が悪玉アクネ菌、キレイな肌の人に多く存在している菌が善玉アクネ菌である…と推測することが出来ます。そして、この研究で見つかった66種類にわたる未報告のアクネ菌株を分析したところ、やはり、ニキビの原因となる種類と、肌の健康を促進する種類に分けられることも確認されました。
言うなれば、腸内環境と同様、善玉菌によって健康が保たれており、バランスが崩れて悪玉菌が増えてしまうと状態が悪化するということですね。
ただ、今のところ、善玉菌を増やすための具体策、善玉菌をクリームや乳液に加工して直接補充する方法などは研究中となっています。もし、画期的な方法が開発され、実用化までこぎ着ければ、ニキビ治療が大きく躍進するかもしれません。
基本的にニキビというのは、毛穴が角栓で詰まることで発生します。皮脂やアクネ菌が溜まってしまうことや、炎症の発生などは、その結果に過ぎません。
ですから、溜まった皮脂を取り除く、抗生剤で炎症を止める…といった治療は、結果として生じたものを除去しているだけで、ニキビの要因そのものには何もしていないのと同じです。
ニキビの再発を防ぎ、本当の意味で完治させるためには、毛穴が角栓で詰まるという最初の段階に至る原因を取り除かなければなりません。
本来、成人であれば毛穴の大きさは角栓よりも大きく、詰まることはないのです。しかし、男性ホルモン過多の状態になると毛穴が収縮して小さな角栓が簡単に詰まってしまうようになります。
また、角質層が乾燥すると肌バリア機能が低下し、角質細胞がボロボロと剥がれ落ちて角栓も生じやすくなるのです。
以上から、男性ホルモンを抑制するホルモン治療と、肌バリア機能を育てて乾燥を防ぐ保湿ケア、この2つを柱とした治療を行うことが、再発防止の鍵となるでしょう。
繰り返すニキビ、難治性のニキビに悩んでいる方にケミカルピーリングはオススメできません。
なかなか治らないということは、すでに角質層の水分が失われ、肌本来のバリア機能が低下していることが予想されます。その状態でフルーツ酸などを塗布して角質を剥がしてしまうと、ただでさえ弱まっているバリア機能が完全に破綻してしまう恐れが強いのです。
肌を刺激から守るバリア機能を司っているのは角質層の細胞間脂質。
セラミドやNMF(天然保湿因子)といった物質が水分と油分を重ね合わせ、ラメラ構造を組んで刺激をシャットアウトするバリアを張っているのです。
角質層を剥がすということは、このバリア機能を一時的に大きく弱めてしまうことですから、かえって、ニキビをはじめとした肌トラブルの再発率を高める結果になることが懸念されます。
ピーリングは健康肌で、もともと肌質の強い人が、一時的なトラブルを解消するために行うものであり、ニキビを繰り返す敏感肌の方には向きません。
それよりも角質層のバリア機能を再構築するため、角質層の保湿ケアを行い、さらに大人ニキビの根本原因である男性ホルモンの過剰分泌を抑えるためのホルモン治療を検討されるのが妥当でしょう。
女性の大人ニキビにとって、男性ホルモンは原因の主犯です。
しかし、共犯もたくさんいてそれがなかなか何か解明できません。ニキビが悪化するときアゴにヒゲがはえてきたり、すね毛が濃くなってきていることも多くみられますから、男性ホルモンはキーマンと考えています。
しかし、男性には若ハゲの薬プロペシアを内服して男性ホルモンを抑制すると、かえって額に皮脂が増え、ニキビのコメドが増加することがあります。
このように男性ホルモンもまだまだ発生機序にわからないことも多くあり、ホルモンを善玉、悪玉と簡単にわけることは危険です。
ただエストロゲンに似た構造で女性ホルモン様の作用のあるイソフラボンは、女性だけでなく男性の大人ニキビにも効果があるようです。
女性ホルモンのエストロゲンは大人ニキビの強力な助っ人とされていますが、実際、排卵誘発剤のクロミッド内服でエストロゲンが増加し排卵しても、ニキビが悪化することがあり、子宮筋腫でエストロゲンを減らすリュープリン投与で、ニキビが改善した例もあります。
エストロゲンと男性ホルモンのバランスが大事かと思いますが、まだまだ解明が進んでいないのが現状です。
ただエストロゲンに似た構造で女性ホルモン様の作用のあるイソフラボンは、効果があるようです。
運営情報
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