大人ニキビの新理論
数多くの臨床データをもとに、常に進化を遂げる治療メソッド
患者さんの体質や生活習慣といった様々な要因により、大人ニキビの症状や進行・治癒のスピードは 大きく異なります。それだけに、日々、数多くの患者さんの治療から得られる膨大な臨床データを常に検証し、 より最適な治療へとフィードバックしていくことは非常に重要なこと。つまり、当院のニキビに対する知見や 治療法は常に進化を遂げています。
こうした、研究の積み重ねの中から、大人ニキビのメカニズムに関する新たな理論が またひとつ明らかになってきました。
大人ニキビの新事実! 皮脂分泌量の増加より、水分量の低下が根本原因
男性ホルモンが増加することにより皮脂分泌が過剰になり、これが毛穴を詰まらせ大人ニキビを引き起す…。この「男性ホルモンの増加=皮脂分泌量の増加」という関係式が、これまで大人ニキビ発症のメカニズムと考えられてきました。
しかし、当院での1~2 年の臨床研究(※)により、男性ホルモンが引き起こす根本的な作用がよりいっそう明確になってきました。
来院される数多くの患者さんの、角質層の皮脂量と水分量を測定した結果、ニキビが多く出来る部分は水分量が少なく乾燥状態になっていること、一方、ニキビの量に関わらず、顔全体の油分量には変化が無いこと…つまり、「男性ホルモンの増加=角層の水分量減少」という新たな関係式が垣間見えてきたのです。
男性ホルモンが水分量とNMF を減少させ、バリア機能を低下させる
ニキビのできにくい健康的な肌にとって不可欠なバリア機能は、角層内の「水分量」×「NMF 含有量」によって保たれています。 NMFとはナチュラル・モイスチャライジング・ファクターと呼ばれる天然保湿因子で、ホルモンバランスの乱れによってこのNMF が減少すると、角層内の水分も失われ、バリア機能が崩壊してしまいます。その結果、肌が乾燥し、角質の肥厚や皮脂の過剰分泌・酸化、さらにはアクネ菌の繁殖といったトラブルに発展する…これが、新たに確認された大人ニキビ発症のメカニズム。皮脂をコントロール(not OILY)することで改善する思春期ニキビとは異なり、大人ニキビはホルモンバランスを整えると同時に、適切な保湿によってバリア機能を育てる(not DRY)という視点からのアプローチが重要であることが解ってきました。
これら「大人ニキビと水分量・油分量の関係性」は、図らずも2013年7月、富士フィルムの画像解析調査によっても確認され、当院が導きだした新理論の正確性が裏付けられる結果となりました。
→ http://news.mynavi.jp/news/2013/07/04/115/index.html