皮脂本来の働きは、肌を保護する機能!?
ニキビ予防を考える上で何かと悪者にされる皮脂ですが、実は皮脂というのも肌の健康を維持する上で必要なものなのです。そもそも人間の身体は不必要なものを分泌したりはしないので、皮脂が不要なはずがありません。もともと皮脂膜は外部刺激から肌を守るための1次バリアという役割を持っており、完全に落としてしまうと、かえって肌の防御力を弱めることになってしまうのです。なので、今まで皮脂を全部落とそうとしてゴシゴシと洗顔していた方は、これを機会に是非ともケア方法を見直してください。あくまでも、過剰な皮脂分泌を抑えることが目的であり、適量の皮脂は肌を守るために必要なのです。
男性ホルモン過剰分泌が引き起こす悲劇
それでは、なぜ皮脂の過剰分泌が起こるのかについて考えてみましょう。原因は複数ありますが、ここでは男性ホルモンの過剰分泌によって引き起こされる皮脂過剰を取り上げることにします。ストレスによって交感神経が優位になると、男性ホルモンの生成が促されてしまうのですが、実は男性ホルモンには皮脂過剰を招き、さらに角質の柔軟性を失わせて角栓の詰まりを誘発する作用があるのです…。ニキビは毛穴が角栓で詰まり、そこに皮脂が溜まってしまうことによって発生しますから、男性ホルモンはニキビ発生を引き起こす2つの原因、その両方を招いてしまいます。以上から、ニキビ予防を考える上ではストレスによって交感神経が刺激され、男性ホルモンが増える…という一連の流れを断ち切ることがもっとも重要といえるのです。
皮脂の過剰分泌を抑える2つの基本!
皮脂の過剰分泌を抑えるためには“皮脂膜を無理に落とすようなゴシゴシ洗顔を控える”そして“男性ホルモンが優位になるストレスフルな生活を見直す”という2つの方策があることが分かりました。ちなみにストレスだけでなく、睡眠不足、パソコンの使用時間が長すぎることによる眼精疲労、急激な寒暖差…といった身体に負担のかかる習慣すべてを含んでいます。
夏と冬の皮脂をコントロール
それでは、実際に皮脂量を適正に保つには何をすれば良いのか、考えてみることにしましょう。多くの方が“皮脂が大量に浮く夏場のケア”と“乾燥しているはずなのに冬場にも脂性肌が続く場合のケア”を気にされているようですので、夏と冬、それぞれの皮脂対策を別々にご紹介することにします。ニキビと縁のない美しい肌を保つための具体策をチェックして、さわり心地のよい美肌を取り戻しましょう。
相澤皮フ科クリニック 院長
相澤 浩/ あいざわ ひろし
新しい「大人ニキビ」というフィールドに、追求心と探究心からのめり込んでいきました。初めての試みに、最初は試行錯誤の連続。それでも、こうして大人ニキビ治療を続け患者様から信頼されているのは、ホルモン研究を続けてきた産婦人科専門医としての経験と実績があるからこそです。産婦人科と皮膚科の両方の知識がなければ、成しえなかった結果です。
ストレス社会の現代では、「大人ニキビ」で悩む人がさらに増えていくことが予想されます。これまでに診察をしてきた初診患者は7万人以上。この貴重なデータをもとに、一人でも多くのニキビに悩む方々のために研究を重ねていきます。